カバー写真 (装幀=工藤強勝) |
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内容一覧 プロローグ 電子メディアを飼いならす 飯田卓 1 テレビ制作の現場を知る ある成人儀礼のドラマ化――「現地の案内人」から「表象の橋渡し」へ 増田研 海外情報型クイズ番組と人類学――『世界ウルルン滞在記』を事例として 南真木人 テレビ番組における人類学的知識の流用――北方少数民族の呼称をめぐって 大西秀之 テレビ・ドキュメンタリーの制作現場から 門田修 コラム 電子メディアの盛栄と民族誌の受難 湖中真哉 2 テレビ視聴を再考する バラエティ番組における未開の演出 吉岡政徳 テレビCMにおけるハワイの文化表象の展開――日本におけるハワイ・イメージの形成と変容の一側面 山中速人 映像視聴の体験化――大学講義の現場から 松田凡/赤嶺淳/飯田卓 コラム 学界の論争とマスメディア 飯田卓 3メディア活用の現場を知る メディアのなかの民俗――アマメハギにみる相互交渉の場としてのメディア 川村清志 ハワイのオキナワン・コミュニティと電子メディア 原知章 「伝統文化」のリアリティとメディア――岐阜県高山市、高山祭の事例から 岡田浩樹 聞くことによる参加 川田牧人 コラム 電子メディアとインタラクティヴィティ 原知章 4 新たなコミュニケーションを構想する 文化を撮る――カメラが伝えるものと伝えないもの 大森康宏 民族誌の未来形へ向けての実験――オンライン民族誌の実践から 湖中真哉 引用のマトリクス――新たな民族誌システムを目指して 大村敬一 コラム 民族誌における対話の可能性 飯田卓 エピローグ 再帰的な人類学的実践としてのメディア研究 原知章 執筆者紹介 赤嶺淳(あかみね じゅん)=1967年生れ。名古屋市立大学人文社会学部助教授。海域世界研究。コモンズ論。定着性沿岸資源の利用にさいして浦々が培ってきた慣行を無視し、国際条約で一律的に管理しようとする風潮に怒りをおぼえます。 飯田卓(いいだ たく)=1969年生れ。国立民族学博物館助手。生態人類学。対面的に継承される技術や知識をテーマとするいっぽう、メディアを介した経験が技術・知識におよぼす作用についても考え始めている。 大西秀之(おおにし ひでゆき)=1969年生れ。総合地球環境学研究所研究部技術補佐員。人類学、考古学。現在は、生計活動に伴う発話化・言語化されがたい認知・行動様式に注目するなかから、「制度」や「規範」に関わる言説と実践の齟齬を研究課題としている。 大村敬一(おおむら けいいち)=1966年生れ。大阪大学大学院言語文化研究科助教授。文化人類学(極北人類学、認知人類学)。カナダ極北圏の先住民、カナダ・イヌイトの伝統的な生態学的知識について調査しながら、先住民知識が環境問題に貢献する可能性について検討している。先住民知識と近代科学の比較、実践知の解明、先住民知識とメディアの関係についても調査している。 大森康宏(おおもり やすひろ)=1943年生れ。国立民族学博物館教授。民族学博士。映像人類学専攻。映像による民族学調査・分析研究。30年間の映像作品の多くは「聖域」をめぐる儀礼、技術、時間と空間利用などが中心。『映像人類学の冒険』(せりか書房)、『進化する映像』(千里文化財団)等。映像作品49本。撮影・制作の「津軽のカミサマ」が1995年フランスパリ第14回民族誌映画大会グランプリ受賞。 岡田浩樹(おかだ ひろき)=1962年岐阜県高山市生れ。神戸大学国際文化学部助教授。文化人類学・東アジア地域研究。「日本」というナショナルな枠を跳び越し、飛騨高山―在日コリアン―韓国―中国朝鮮族―オーストラリアコリアンに至る「地続きの人類学」を実践することを模索中。 川田牧人(かわだ まきと)=1963年生れ。中京大学社会学部助教授。専攻は文化人類学、東南アジア民族誌。主著に『祈りと祀りの日常知』(九州大学出版会)。フィリピン・ピサヤ地方を中心に、呪術的諸実践と知識の民族誌的研究を続行中。 川村清志(かわむら きよし)=1968年生れ。札幌大学文化学部日本語・日本文化学科助教授。文化人類学、日本文化学。民俗文化の近現代における変容を民謡、祭礼、民俗芸能といった具体の地平から検証中。 湖中真哉(こなか しんや)=1965生れ。静岡県立大学国際関係学部助手。生態・経済人類学、アフリカ地域研究。東アフリカ・マー語系社会における生業経済と市場経済、物質文化と商品経済の複合化現象について調査研究中。 原知章(はら ともあき)=静岡大学人文学部助教授。人類学専攻。『民俗文化の現在』(同成社)、『間主観性の人間科学』(共著、言叢社)など。沖縄・読谷村における近代以後の社会文化変動と、ハワイ・ホノルルにおけるオキナワン・コミュニティの動態の過程を同時にたどりながら、グローバルな時空間における沖縄とハワイの関係を論じるマルチサイテッド・エスノグラフィー(Multi-Sited Ethnography)を構想中。 増田研(ますだ けん)=1968年横浜生れ。長崎大学環境科学部助教授。エチオピア南部をフィールドに、国家と周辺社会が、政治と文化と経済をとおして、どのような関係を結んで来たのかについて研究。 松田凡(まつだ ひろし)=1958年京都生れ。京都文教大学人間学部文化人類学科助教授。文化人類学、アフリカ地域研究。モノの交換と社会関係に関心をもって研究する一方、最近は、文化人類学教育の地域実践に汗を流している。 南真木人(みなみ まきと〉=1961年生れ。学術修士。国立民族学博物館助教授。生態人類学、ネパール研究。主としてマガール人の村落社会を研究し、最近は在外ネパール人のトランスナショナルな活動に関する調査もはじめている。 門田修(もんでん おさむ)=1947年生れ。映像制作会社(有)海工房主宰。世界の海洋文化に関心を持つ。『海のラクダ』(中公文庫)『漂海民』(河出書房新社)『海が見えるアジア』(めこん)。DVD作品「海と森と人の映像シリーズ/バハリ」を制作・販売する。 山中速人(やまなか はやと)=1953年生れ。関西学院大学教授、社会学博士。文化社会学、メディア研究。主著に、多文化社会論としての『ハワイ』(岩波新書)。『マルチメディアでフィールドワーク』(有斐閣)で主張したメディア技術のフィールドワークへの応用を実践中。 吉岡政徳(よしおか まさのり)=1951年生れ。社会人類学博士。神戸大学国際文化学部教授。著書に『反・ポストコロニアル人類学』(風響社2005年)、『メラネシアの位階階梯制社会』(風響社1998年)など。 関連書 『映像人類学の冒険』(伊藤俊治・港千尋編) |