カバー写真 (装幀=平倉 圭)

内容一覧

序 章 喜劇の女王――〈無声映画〉の未完のプロジェクト

第1章 飛び散った瓦礫のなかを――「複製技術時代の芸術作品」と映画
1 はじめに――映画による文化批判に向けて
2 アウラの崩壊――イメージにおける時間性
3 遊動空間――断片的時間性の生産へ
4 気散じ――機械状の視覚の肯定
5 おわりに――破局のなかで〈見る〉こと

第2章 パノプティコンの原光景――ミシェル・フーコーと視覚的無意識
1 はじめに
2 パノプティコンを読む
3 一八世紀の窃視幻想
4 二〇世紀の監視幻想

第3章 重力の天使たち――ロイドとチャップリンにおける身体・視線・都市
1 自写のマゾヒズム
2 ハロルド・ロイド、あるいはモダニティの凡庸な天使
3 チャールズ・チャップリン、あるいはモダニティへの抵抗
4 反モダニティの天使とその墜落

第4章 逃げ去る都市――遊歩の凋落と初期映画
1 映画、都市、ベンヤミン
2 「移動性をもった仮想の視線」?
3 「遊歩者」とその凋落
4 路上のヴォードヴィル・ショー
5 パノラマの映画的変容

第5章 資本主義の道化――キング・ヴィダーの『群衆』(一九二八)
1 遊歩者からサンドイッチマンヘ
2 「都市における疎外の肖像」?
3 〈都市の言説〉としてのコニーアイランド
4 『群衆』におけるコニーアイランドとマンハッタン
5 監禁から循環へ
6 〈広告の言説〉と主体化の困難
7 アレゴリー、または言説のクラッシュ

第6章 路上の〈馬鹿息子〉――バスター・キートンと「アマチュア映画」
1 機械時代の英雄的個人主義
2 「アマチュア映画」
3 アクション、モーション、キートン
4 矩形、回転、静止

終 章 花摘む人に倣って



あとがき
索引

著者紹介


中村秀之(なかむら ひでゆき)
1955年生まれ。現在、立教大学教授。専攻は映画研究、文化社会学。主な著書に『映像/言説の文化社会学 フィルム・ノワールとモダニティ』(岩波書店)、『映画の政治学』(青弓社、長谷正人との共編著)。『アンチ・スペクタクル 沸騰する映像文化の考古学』(東京大学出版会、共編訳)、『映像と身体 新しいアレンジメントに向けて』(せりか書房、共著)、『岩波講座 アジア・太平洋戦争 5 戦場の諸相』(岩波書店、共著)などがある。

関連書

映像と身体 新しいアレンジメントに向けて』(中村秀之他著)