カバー写真 (装幀=大熊真未)

内容一覧

本書を編むにあたって  岩崎稔

第一部 出来事としてのカルチュラル・スタディーズ
 東アジアのCultural Studiesとは何か  吉見俊哉
 緊張と共に生きる――インター・アジア運動をめぐるメモランダムとして  陳光興(橋本良一訳)
 アジアにおける凡庸さと教育について  ミーガン・モリス(橋本良一訳)
 「日本」におけるカルチュラル・スタディーズの水脈と変容――ヨーロッパ/東アジア/日本の結節点において  ファービアン・シェーファ/本橋哲也

第二部 文化と政治の突端で
 『アトミックサンシャイン』展覧会問題をどうとらえるか  毛利嘉孝
 現代日本における排外ナショナリズムと植民地主義の否認――批判のために  柏崎正憲
 日本人「慰安婦」被害者と出会うために  木下直子
 「経済開発」への抵抗としての文化実践――施政権返還後の沖縄における金武湾闘争       上原こずえ

第三部 アイデンティティと可視化の問い
 在日フィリピン女性の不可視性――日本社会のグローバル化とジェンダー・セクシュアリティ  菊地夏野
 不可視化される"不法"移民労働者第二世代――トランスナショナルなつながりとエンパワーメント  鄭嘉英(遠見里子訳)
 「多文化共生イベント」におけるアイデンティティ・ポリティクスの現在――「マダン」の変容にみる〈ナショナルなまなざし〉の反転可能性  稲津秀樹

第四部 アジアのイメージ、イメージのアジア
 不安の感性、金守子と李昢――グロテスクな魅惑の都市、二一世紀のソウル・アート  禹晶娥(常安郁彌訳)
 映画のなかの沖縄イメージ――その複線的な系譜  多田治
 「アメリカ」・モダニティ・日常生活の民主主義――占領期における女性雑誌のアメリカ表象  松田ヒロ子

第五部 メディアと公共性
 越境する公共性――テレビ文化がつなぐ東アジアの市民  岩渕功一
 フィリピンにおける日本製アニメの人気と両国関係  マリア・ベルナデット・ブラヴォ(山嵜佑衣訳)
 ファンの地下経済活動――ジャニーズファンを例に  龐惠潔

あとがき


執筆者略歴


【編者】
岩崎稔(いわさき みのる)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授、東京外国語大学出版会編集長。哲学/政治思想。共編著に『東アジアの記憶の場』(河出書房新社)、『記憶の地層を掘る』(御茶ノ水書房)など。

陳光興(Chen Kuan-Hsing)
台湾交通大学社会文化研究所教授、『インターアジア・カルチェラル・スタディーズ(Inter-Asia Cultural Studies: Movement)』主幹。著書に、Asia as Method: Toward Deimperialization, Duke University Pressなど。

吉見俊哉(よしみ しゅんや)
東京大学大学院情報学環教授。社会学、文化研究、メディア研究。著書に『カルチュラル・スタディーズ』(岩波書店)、『親米と反米』(岩波新書)など。

【論文】
ミーガン・モリス(Meaghan Morris)
香港嶺南大学カルチェラル・スタディーズ学部教授。カルチュラル・スタディーズ。著書に、Too Soon Too Late: History in Popular Culture (Theories of Contemporary Culture), Indiana UP、Identity Anecdotes: Translation and Media Culture, SagePublicationsなど。

ファービアン・シェーファ(Fabian Schäfer)
ライブチッヒ大学東アジア研究所日本学科講師。メディア論、カルチェラル・スタディーズ。論文に"Public Opinion and the Press: Transnational Contexts of Early Media and Communication Studies in Prewar Japan, 1918-1937." In: Social Science Japan Journal 2011 14(1). "The Re-articulation of Cultural Studies inJapan and its Consequences for JapaneseStudies." In: International Jounal of Cultural Studies 12(1)など。

本橋哲也(もとはし てつや)
東京経済大学コミュニケーション学部教授。カルチェラル・スタディーズ。著書に『思想としてのシェイクスピア』(河出書房新社)、『深読みミュージカル』(青土社)など。

毛利嘉孝(もうり よしたか)
東京芸術大学音楽学部准教授。社会学、メディア研究、文化研究。著書に『ストリートの思想』(NHK出版)、『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)など。

柏崎正憲(かしわざき まさのり)
東京外国語大学大学院博士後期課程、日本学術振興会特別研究員。政治思想。論文に「反差別から差別への同軸反転——現代コリア研究所の捩れと日本の歴史修正主義」(『クァドランテ』第10号)、「政治的合理性と国家——フーコー「統治性研究」の裏面」(『未来』2009年7月号)など。

木下直子(きのした なおこ)
九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程、日本学術振興会特別研究員。社会学、フェミニズム理論。論文に「DV被害者支援をおこなう民間シェルターの課題——利用者からの異議申し立てを中心に」(『女性学年報』第30号)、「映画紹介『ガイサンシーとその姉妹たち』」(『リベラシオン』129号)など。

上原こずえ(うえはら こずえ)
東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程、日本学術振興会特別研究員。戦後沖縄の社会運動史・思想史。

菊地夏野(きくち なつの)
名古屋市立大学人文社会学部准教授。社会学、ジェンダー・セクシュアリティ研究。著書に『ポストコロニアリズムとジェンダー』(青弓社)など。

鄭嘉英(Chunga Ga Young)
韓国女性政策研究院委嘱研究員、社会学。論文にLife Experiences and Its Interpretation of Mongolian Migrant Youth in Korea,(『社会研究』2009年2/2号)など。

稲津秀樹(いなづ ひでき)
関西学院大学大学院社会学研究科研究員、日本学術振興会特別研究員。移民研究、監視研究、ナショナリズム/エスニシティ論。論文に「日系ペルー人の『監視の経験』のリアリティー〈転移〉する空間の管理者に着目して」(『社会学評論』61(1)号)、「移動する人びと/エスニシティのフィールド調査における『可視性の誤謬』」(『KG/GP社会学批評 別冊 共同研究成果論集』)など。

禹晶蛾(Woo Jung-Ah)
韓国科学技術先端研究所(KAIST)人文社会科学学科客員教授。近現代美術史。論文に"Terror of the Bathroom: On Kawara's Figurative Drawings andPostwar Japan," Oxford Art Journal Vol.33、"On Kawara's Date Paintings: Series of Horror and Boredom," Art Journalなど。

多田治(ただ おさむ)
一橋大学社会学研究科准教授。グローバル社会学、沖縄研究、メディア研究、現代社会理論。著書に『沖縄イメージを旅する——柳田國男から移住ブームまで』(中公新書ラクレ)、『沖縄イメージの誕生——青い海のカルチュラル・スタディーズ』(東洋経済新報社)など。

松田ヒロ子(まつだ ひろこ)
日本学術振興会特別研究員。歴史社会学、社会史。論文に、"Moving out from the Margin: Imperialism and Migrations from Japan, the Ryûkyû Islands and Taiwan" Asian Studies Review,32(4)など。

岩測功一(いわぶち こういち)
早稲田大学国際教養学部教授。メディア・文化研究。著書に『トランスナショナル・ジャパン——アジアをつなぐポピュラー文化』(岩波書店)、『文化の対話カ——ソフトーパワーとブランド・ナショナリズムを越えて』(日本経済新聞出版社)など。

マリア・ベルナデット・ブラヴォ(Maria Bernadette Bravo)
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程。国際メディア研究、カルチュラル・スタディーズ。論文に、"On Turning Japanese: The Impact of Anime on Philippine Pop Culture" in International Jounal of Comic Art Vol.13.など。

龐惠潔(Pang Hui-Chieh)
東京大学大学院学際情報学府博士課程。カルチェラル・スタディーズ。論文に「ファン・コミュニティにおけるヒエラルキーの考察」(東京大学大学院情報学環紀要78巻)など。

【翻訳】
橋本良一(はしもと りょういち)
東京大学大学院総合文化研究科修士課程。比較文学。

遠見里子(えんみ さとこ)
一橋大学大学院社会学研究科修士課程。社会学。

常安郁彌(つねやす ふみや)
一橋大学大学院社会学研究科修士課程。社会学。

山嵜佑衣(やまざき ゆい)
一橋大学大学院言語社会研究科修士課程。二〇世紀英国文化/英文学。


関連書

文化の実践、文化の研究』(伊藤守編)
トヨティズムを生きる』(鶴本花織・西山哲郎・松宮朝編)